備後絣 輪袈裟 【伝統工芸シリーズ】
九州の久留米絣、愛媛県松山市の伊予絣とともに日本三大絣のひとつである備後絣。
江戸時代に広島県福山市で生まれ、戦後のピークには全国シェアの7割を占める全国一の生産量を誇っていました。
しかし和服離れや化学繊維の台頭により需要が激減。
織元の閉鎖が相次ぎ、現在は「森田織物」「橘髙兄弟商会」の2社だけが生産を続けています。
備後絣の伝統の製法を受け継ぎながら時代の移り変わりや客先のニーズに合わせた生地・製品を、備後節織(びんごふしおり)として提供しています。
「備後節織」は、ポコポコとしたネップ(節)があるのが大きな特徴。
織り糸にも膨らみのあるネップが入っていて、機械織りなのに手織りのような、温かみある素朴な風合いが持ち味です。
その風合いを生みだすのが、昭和三十年代製の旧式のシャトル織機。
シャトル織機は、上下に開いた経糸の間に、緯糸を内蔵したシャトルを使いシャトル左右に動かして糸を打ち込み、ゆっくりと織る仕組み。緯糸にかかる張力があまりかからないため、少し空気を含んだような、木綿ならではの柔らかい風合いを生かして織ることができるのです。
また、職人の手仕事で糸を染め、天候に細心の注意を払いながら天日に干すなど手仕事が担う工程が多く生産量が限られるとても貴重な生地になります。
※濃色の場合、色落ちや色移りが起きる可能性があります。